モノの値段
飛騨からの帰り、広大なスペースに屋根があるだけの、一見廃材置き場と間違える雰囲気の古民具店を発見し、立ち寄ってみました。この辺りの昔の暮らしが凝縮された民具の多さに圧倒されると同時に、値札もつけられぬまま、殺伐と置かれたその場の雰囲気は異様ですらあり、一人では絶対に足を踏み入れられそうにありません。それでも足早に「いいナ」と思うものを見つけて(私も欲が深い・・)店主に値段を聞いてみたところ・・・。皆さん、下の4点でいくらだと思います?
答えは4000円。「安くしとくで」との前置きつきにしては、高いと思ってしまった私は、その店主と商談開始。
「このカゴ2つなら?」
「3000円」
「じゃ、このカゴ1つなら?」
「2000円はほしいね」
「・・・・」
結局、この短かすぎる商談からついた値段というのが、左手前のカゴから時計周りに、1000円、2000円、500円、500円。明らかにその時の店主の「言い値」であり、自分がフリーマーケットで値段交渉されたときの気まずさ、苦しさを思い出してしまいました。そして、品数を絞って特定すればするほど、値段が高く言い渡される・・・。当たり前の商売原理でしょうけど、あまりに露骨で呆れてしまい、最後は「ありがとう」とその場を去りました。
で、帰宅してからも写真を見ながら、4000円は本当に高かったの?と考えてしまい、足助の
高嶋屋で買った鳥かごの値段はどうだっけ?と確認。ひょっとしたら4点で4000円は妥当な値だったのかもしれません。ただ・・・、高嶋屋の鳥かごは本当に昔使われていたのだろうかと思うほどに手入れがされており、店主の目の届く扱いをされ、あらかじめ値札もついていました。モノとしては鳥かご同様、手の込んだつくりのカゴやフルイであったのに、なんだか最後には切なくすら感じて今回その場を去ったのは、そんな違いによるのかな・・・。そんなことを思いながら、私の手元に来ることのなかった古民具の写真を眺めるのでした。
関連記事